ゆめのおしち
夢のお七

冒頭文

一 大田蜀山人の「一話一言」を読んだ人は、そのうちにこういう話のあることを記憶しているであろう。 八百屋お七の墓は小石川の円乗寺にある。妙栄禅定尼と彫られた石碑は古いものであるが、火災のときに中程から折られたので、そのまま上に乗せてある。然るに近頃それと同様の銘を切って、立像の阿弥陀を彫刻した新しい石碑が、その傍(かたわら)に建てられた。ある人がその子細をたずねると、円乗寺の住職は

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 鎧櫃の血
  • 光文社文庫、光文社
  • 1988(昭和63)年5月20日