ゆきおんな |
| 雪女 |
冒頭文
一 O君は語る。 大正の初年から某商会の満洲支店詰を勤めていた堀部君が足かけ十年振りで内地へ帰って来て、彼が満洲で遭遇した雪女の不思議な話を聞かせてくれた。 この出来事の舞台は奉天(ほうてん)に近い芹菜堡子(ぎんさいほし)とかいう所だそうである。わたしもかつて満洲の土地を踏んだことがあるが、その芹菜堡子とかいうのはどんなところか知らない。しかし、それがいわゆる雲朔(うんさく)に近い荒涼た
文字遣い
新字新仮名
初出
「子供役者の死」隆文館、1921(大正10)年3月
底本
- 鷲
- 光文社文庫、光文社
- 1990(平成2)年8月20日