うし

冒頭文

上 「来年は丑(うし)だそうですが、何か牛に因(ちな)んだようなお話はありませんか。」と、青年は訊く。 「なに、丑年……。君たちなんぞも干支(えと)をいうのか。こうなるとどっちが若いか判らなくなるが、まあいい。干支にちなんだ丑ならば、絵はがき屋の店を捜してあるいた方が早手廻しだと言いたいところだが、折角のおたずねだから何か話しましょう。」 と、老人は答える。 「そこで、相成るべくは

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 鎧櫃の血
  • 光文社文庫、光文社
  • 1988(昭和63)年5月20日