みっかげんきょう
三日幻境

冒頭文

(上) 人生何すれぞ常に忙促たる、半生の過夢算(かぞ)ふるに遑(いとま)なし。悲しいかな、我も亦た浮萍を追ひ迷雲を尋ねて、この夕徒(いたづ)らに往事を追懐するの身となれり。 常に惟(おも)ふ、志を行はんとするものは必らずしも終生を労役するに及ばず。詩壇の正直男(ゴールドスミス)この情(こゝろ)を賦して言へることあり。 I still had hopes, my lon

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女學雜誌 三二五號、三二七號」女學雜誌社、1892(明治25)年8月13日、9月10日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日