たんめいちょうめい
短命長命

冒頭文

ある薄ら曇りの日、ぶらぶら隣村へ歩いた。その村に生田春月の詩碑がある。途中でふとその詩碑のところへ行ってみる気になって海岸の道路を左へそれ、細道を曲り村の墓地のある丘へあがって行った。 墓地の下の小高いところに海に面して詩碑が建っている。生田花世氏がここへ来て、あんたはよいところでお死にになったと夫の遺骸に対して云ったと、私が詩碑の傍に立って西の方へ遠く突き出ている新緑の岬や、福部島や、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 黒島傳治全集 第三巻
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年8月30日