じでん
自伝

冒頭文

明治三十一年十二月十二日、香川県小豆郡苗羽村に生れた。父を兼吉、母をキクという。今なお健在している。家は、半農半漁で生活をたてゝいた。祖父は、江戸通いの船乗りであった。幼時、主として祖母に育てられた。祖母に方々へつれて行って貰った。晩にねる時には、いつも祖母の「昔話」「おとぎばなし」をきゝながら、いつのまにかねむってしまった。生れた時は、もう祖父はなかったが、祖母は、祖父の話をよくした。「おとぎば

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 黒島傳治全集 第三巻
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年8月30日