じがぞう
自画像

冒頭文

なか〳〵取ッつきの悪い男である。ムッツリしとって、物事に冷淡で、陰鬱で、不愉快な奴だ。熱情なんど、どこに持って居るか、そんなけぶらいも見えん。そのくせ、勝手な時には、なか〳〵の感情家であるのだ。なんでもないことにプン〳〵おこりだす。なんにでも不平を持つ。かと思うと、おこって然るべき時に、おこらず、だまってにやけこんで居る。 どんなにいゝ着物をきせても、百姓が手織りの木綿を着たようにしか見

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 黒島傳治全集 第三巻
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年8月30日