いなかからとうきょうをみる
田舎から東京を見る

冒頭文

田舎から東京をみるという題をつけたが本当をいうと、田舎に長く住んでいると東京のことは殆ど分らない。日本から外国へ行くと却て日本の姿がよく分るとは多くの海外へ行った人々の繰返すところであるし、私もちょっとばかり日本からはなれて、支那とシベリアへ行ったことがあるが、そのときやはり、日本がよく分るような気がした。しかし東京をはなれて田舎にいるのでは、その筆法は、あてはまらないような気がする。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 黒島傳治全集 第三巻
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年8月30日