あいどくしたほんとさっかから
愛読した本と作家から

冒頭文

いろ〳〵なものを読んで忘れ、また、読んで忘れ、しょっちゅう、それを繰りかえして、自分の身についたものは、その中の、何十分の一にしかあたらない。僕はそんな気がしている。がそれは当然らしい。中には、毒になるものがあるし、また、毒にも薬にもならない、なんにも、役立たないものもある。 空腹のとき、肉や刺身を食うと、それが直ちに、自分の血となり肉となるような感じがする。読んでそういう感じを覚える作

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 黒島傳治全集 第三巻
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年8月30日