「あるひのうんどう」のつづき
「或る日の運動」の続き

冒頭文

——「泳ぎ位ゐ三日も練習したら出来さうなものだがな!」 私は、此間うちから、かくれて読んでゐた水泳術の本を、鍵のかゝつた本箱の抽斗しから取り出して来て開いた。 そして私は、本にならつて腕を挙げたり下げたりして見た。私は、座敷に入つて、腹逼ひになつた。 「一、二、三!」 —————— 彼は、某雑誌に出てゐる自分の『或る日の運動』といふ題の小説を、そこまで読ん

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文藝春秋 第三巻第三号(三月特別附録号)」文藝春秋社、1925(大正14)年3月1日

底本

  • 牧野信一全集第二巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年3月24日