あき・ふつかのはなし
秋・二日の話

冒頭文

綽名だけは一人前——悪党きどりの不良少年——母島村長の懇望から三十人をけふ島送り——。 未だ十三や十四の身空でオートバイ、洋服、熊、ガタ倉、黒、トガワ、青坊主、ヤセ馬等といふ綽名を持ち、ひとかどの悪党きどりで浅草公園を中心に新公園、寺院墓地、雷門、川崎銀行裏、五重塔等に屯して、かつぱらひやすりを働く不良少年の群には、所轄署に於ても一方ならず手を焼いてゐるが、今回小笠原の母島から上京した同

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第四十二巻第一号」新潮社、1925(大正14)年1月1日

底本

  • 牧野信一全集第二巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年3月24日