かんぎょどうふうけい
環魚洞風景

冒頭文

一 「まつたく、ひどい音響(おと)だね! あれは——もう僕は、大抵慣れたつもりなんだが、だがさつぱり駄目だよ。——これほど突拍子もないものになると、一日に何辺繰り反されても、その度にひどく驚かされるんだ、その余韻が消えるまでには、相当の時間を要するほどに——だ。……で、ね、もう起る時分だな、と、さう思つて、時にはね、いたづらな反抗心といふやつをもつてさ、つまり——何の、さアやるんならやつて見

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女性 第八巻第二号」プラトン社、1925(大正14)年8月1日

底本

  • 牧野信一全集第二巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年3月24日