いせいにたいするかんかくをせんれんせよ
異性に対する感覚を洗練せよ

冒頭文

現代の女性の感覚は色調とか形式美とか音とかに就(つ)いて著(いちじ)るしく発達して来た。全(あら)ゆる新流行に対して、その深い原理性を丹念に研究しなくとも直截(ちょくせつ)に感覚からして其(そ)の適応性優秀性を意識出来(でき)る敏感(びんかん)さを目立って発達させて来た。これは新発明とか、創造とかには或(ある)いは適さぬ性質かも知れない。何故(なぜ)と言えば、余り深く一処(ひとところ)、一物(いち

文字遣い

新字新仮名

初出

「都新聞」1935(昭和10)年11月17日

底本

  • 愛よ、愛
  • パサージュ叢書、メタローグ
  • 1999(平成11)年5月8日