どくもみのすきなしょちょうさん |
| 毒もみのすきな署長さん |
冒頭文
四つのつめたい谷川が、カラコン山の氷河から出て、ごうごう白い泡(あわ)をはいて、プハラの国にはいるのでした。四つの川はプハラの町で集って一つの大きなしずかな川になりました。その川はふだんは水もすきとおり、淵(ふち)には雲や樹(き)の影(かげ)もうつるのでしたが、一ぺん洪水(こうずい)になると、幅(はば)十町もある楊(やなぎ)の生えた広い河原(かわら)が、恐(おそ)ろしく咆(ほ)える水で、いっぱいに
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- ちくま日本文学全集 宮沢賢治
- 筑摩書房
- 1991(平成3)年3月20日