きゅうぶんにほんばし 10 かつかわはなきくのいっしょう
旧聞日本橋 10 勝川花菊の一生

冒頭文

勝川のおばさんという名がアンポンタンに記憶された。顔の印象は浅黒く、長かった。それが木魚の顔のおじいさんのたった一人の妹だときいても、別段心もひかれなかった。ただ平べったいチンチクリンのおじいさんに、長茄子(なす)のような妹があるのかなと思った位だった。 しかし彼女は小意気だった、その時分の扮装(おつくり)が黒っぽかったので、背のたかい細面(ほそおもて)の女(ひと)を、感じから黒茄子にし

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旧聞日本橋
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1983(昭和58)年8月16日