しんしょうふうけい(ぞくへん)
心象風景(続篇)

冒頭文

岡といふ彫刻家のモデルを務めて私がそのアトリヱへ通ひ、日が延びる程の遅々たるおもむきで、その等身胸像の原型が造られてゆくありさまを緯となし、その間に巻き起る多様なる人事を経として、そしてその胸像が完成される日までを同時に本篇の完結と目指して、これには凡そ四五十枚の前篇がありますが、それはそれとして、新たに稿をすゝめます。 大二郎と閑吉が、在らぬ話を何かと意味あり気に私とりら子に就いて、飛

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文藝春秋 第十一巻第三号」文藝春秋社、1933(昭和8)年3月、「文藝春秋 第十一巻第六号」文藝春秋社、1933(昭和8)年6月

底本

  • 牧野信一全集第五巻
  • 筑摩書房
  • 2002(平成14)年7月20日