あんごうぶとうじんのなぞ
暗号舞踏人の謎

冒頭文

ホームズは全く黙りこんだまま、その脊の高い痩せた身体を猫脊にして、何時間も化学実験室に向っていた。そこからは頻りに、いやな悪臭がただよって来る、——彼の頭は胸に深くちぢこめられて、その恰好は、鈍い灰色の羽毛の、黒い鳥冠(とさか)の奇妙な鳥のようにも見えた。 「そこで、ワトソン君、——」 彼は突然に口を開いた。 「君は南アフリカのある投資事業に、投資することは、思い止まってしまった

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界探偵小説全集 第四卷 シヤーロツク・ホームズの歸還
  • 平凡社
  • 1929(昭和4)年10月5日