きゅうぶんにほんばし 04 げんせんしょうがっこう
旧聞日本橋 04 源泉小学校

冒頭文

源泉小学校は大伝馬(おおでんま)町の裏にあって、格子戸がはまった普通の家造りで、上って玄関、横に二階をもった座敷と台所。たぶん台所と並んだ玄関の奥へ教場の平屋を建てましたのであろう。玄関の横の八畳には通りにむかって窓があった。ここの畳へ座る人種は我々と違っていた。特別の机が配置してあって、手焙(てあぶ)りが冬は各自(めいめい)についている。窓の下のところには、紙だとうに針山もおいてあった。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旧聞日本橋
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1983(昭和58)年8月16日