あしびのはな
あしびの花

冒頭文

今はもう散つて了つたが、馬酔木(あしび)の花は樹の花の中でも立派なものだ。梅のさく早春から藤の散る初夏頃まで咲き続き、挿花にでもしようものなら、一箇月の余もしほれないでゐる、生気の強い灌木だ。 馬酔木の花を見ると、大抵の人が少しさびし過ぎると考へるであらう。その色つやも大して立派だとは言ふまい。けれどもそれは馬酔木の古木が本当に咲き盛つてゐるところを見てゐないのである。一丈以上にも伸びた

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 花の名随筆2 二月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年1月10日