きゅうぶんにほんばし 03 そばやのりきゅう |
| 旧聞日本橋 03 蕎麦屋の利久 |
冒頭文
角の荒物屋が佐野吾八さんの代にならないずっと前——私たちまだ宇宙にブヨブヨ魂が漂(ただよ)っていた時代——そこは八人芸の○○斎という名人がいたのだそうで、上(あ)げ板(いた)を叩(たた)いて「番頭さん熱いよ」とうめ湯をたのんだり、小唄(こうた)をうたったりすると、どうしても洗湯(おゆや)の隣りに住んでる気がしたり、赤児(こども)が生れる泣声に驚かされたりしたと祖母がはなしてくれた。 この祖母が
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 旧聞日本橋
- 岩波文庫、岩波書店
- 1983(昭和58)年8月16日