やみざくら
闇桜

冒頭文

(上) 隔(へだ)ては中垣(なかがき)の建仁寺(けんにんじ)にゆづりて汲(くみ)かはす庭井(にはゐ)の水(みづ)の交(まじ)はりの底(そこ)きよく深(ふか)く軒端(のきば)に咲(さ)く梅一木(うめひとき)に両家(りやうけ)の春(はる)を見(み)せて薫(かほ)りも分(わか)ち合(あ)ふ中村(なかむら)園田(そのだ)と呼(よ)ぶ宿(やど)あり園田(そのだ)の主人(あるじ)は一昨年(をとゞし)なく

文字遣い

新字旧仮名

初出

「武蔵野 第一編」1892(明治25)年3月23日

底本

  • 新日本古典文学大系 明治編 24 樋口一葉集
  • 岩波書店
  • 2001(平成13)年10月15日