こすいのかね
湖水の鐘

冒頭文

一 或(ある)山の村に、きれいな、青い湖水がありました。その湖水の底には、妖女(えうぢよ)の王さまが、三人の王女と一しよに住んでゐました。王さまは、夏になると、空の青々と晴れた日には、よく、小さな妖女たちをつれて、三人の王女と一しよに、真珠の舟に乗つて出て来て、湖水の岸のやはらかな草むらへ上(あが)りました。 妖女たちは大よろこびで、草の中をかけまはつたり、小さな草の花の中へはいつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「湖水の鐘 世界童話集第六編」1918(大正7)年1月

底本

  • 日本児童文学大系 第一〇巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日