やひこやま
弥彦山

冒頭文

新潟の停車場を出ると列車の箱からまけ出された樣に人々はぞろ〳〵と一方へ向いて行く。其あとへ跟いて行くとすぐに長大な木橋がある。橋へかゝつてぶら〳〵と辿つて來ると古傘を手に提げた若者が余の側へ寄つて丁寧な辭儀をして新潟はどちらへお泊りですかと問うた。彼は宿引であつたのだ。何處といふことはないが郵便局へ用があるのだから其方へ行かねばならぬと斷る積りでいふと、局ならばすぐ手前のうしろに當つて居ります、手

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 長塚節全集 第二巻
  • 春陽堂書店
  • 1977(昭和52)年1月31日