すずりばこととけい
硯箱と時計

冒頭文

石之助(いしのすけ)が机にむかつて、算術をかんがへてゐますと、となりの金(きん)さんが来て、 「佐太(さだ)さん。石さんはよく勉強するね。きつと硯箱(すずりばこ)になりますよ。」と、言ひました。すると佐太夫は、 「いいえ。石之助はとても硯箱にはなれませんよ。硯箱になるのは、あんたの所の茂丸(しげまる)さんですよ。」と、申しました。 ふすまのこちらで、お父さまと金さんの話をきいてゐた石

文字遣い

新字旧仮名

初出

「金の星」金の星社、1926(大正15)年1月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日