ばかしち
馬鹿七

冒頭文

一 紀州(きしう)の山奥に、狸山(たぬきやま)といふ高い山がありました。其所(そこ)には、大きな樫(かし)だの、樟(くす)だのが生え繁(しげ)つてゐる、昼でも薄暗い、気味の悪い森がありました。森の中には百穴(あな)といふのがありました。其(そ)の穴の中から、お腹(なか)の膨れた古狸が、夕方になると、百疋(ぴき)も二百疋も、ノソノソと這(は)ひ出して来て、ポンポコ〳〵〳〵と腹鼓を打つて踊つたり

文字遣い

新字旧仮名

初出

「金の船」キンノツノ社、1919(大正8)年11月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日