一 御維新の少し前頃(まへごろ)、北海道有珠(うす)のアイヌ部落(コタン)にキクッタとチャラピタといふ二人の少年がゐました。キクッタは十七で、チャラピタは一つ下の十六でした。小さなときから、大へん仲好(なかよ)しで、遊ぶにも魚をとるにも、また罠(わな)をかけに行くにも、いつも一しよでした。ところが、その年になつて、二人が今までのやうに睦(むつま)じくやつていけないことが起りました。それはアイヌが一