こうぼうのねことにわとり
幸坊の猫と鶏

冒頭文

一 幸坊(かうばう)のうちは、ゐなかの百姓でしたから、鶏を飼つてゐました。そのうちに、をんどりはもう六年もゐるので、鶏としては、たいへんおぢいさんのはずですが、どういふものか、この鳥にかぎつて、わか〳〵しくしてゐました。まつ白な羽はいつも生えたてのやうに、つや〳〵して、とさかは赤いカンナの花のやうにまつ赤で、くちばしや足は、バタのやうに黄いろでした。 幸坊が餌(ゑ)をもつていくと、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤い鳥」1926(大正15)年2月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日