りゅうぐうのいぬ
竜宮の犬

冒頭文

或(ある)田舎に貧乏な爺(ぢい)さんと、婆(ばあ)さんとが二人きりで暮してをりました。耕す畑も田もないから、仕方なく爺さんは楊枝(やうじ)、歯磨(はみが)き、洗粉(あらひこ)などを行商して、いくらかのお銭(あし)を取り、婆さんは他人の洗濯(せんたく)や針仕事を頼まれて、さびしい暮しをつゞけてをりました。 すると或年の秋も末になり、紅葉(もみぢ)が綺麗(きれい)に色づき、柿(かき)の実があ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日