こうこううずらのはなし
孝行鶉の話

冒頭文

一 ある野原の薄藪(すすきやぶ)の中に、母と子との二匹の鶉(うづら)が巣を構へてをりました。母鶉はもう年よりなので羽が弱くて、少し遠いところには飛んで行くことが出来ませんでした。ですから巣から余り遠くないところで、小さな虫を捕つたり、粟(あは)の穂を拾つたりして、少しづゝ餌(ゑ)をあつめてをりました。子鶉は至つて親孝行で、毎日朝早くから巣を飛び出して、遠くへ餌をあさりに出かけ、夕方になつて帰

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤い鳥」1922(大正11)年2月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日