うみぼうずのはなし
海坊主の話

冒頭文

私は子供の時分のことを思ひおこす時、何よりもさきに髯(ひげ)の爺(ぢい)のすがたが目に浮んで来ます。ふさ〳〵とした長い髯を生(はや)してゐましたところから、私は髯のぢい、髯のぢいと呼びなれましたが、今考へて見ますと、ぢいはその頃まだ五十にはなつてゐなかつたはずであります。その長い髯と、眠つてゐるやうな細い目と、皺(しわ)のよつた顔とが、ぢいをいかにも年よりらしく見せました。 髯のぢいは、

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本児童文学大系 第九巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日