わたしのそふ
私の祖父

冒頭文

私(わたし)は、幼いころのお父さん、お母さん、おばあさんの思ひ出は、はつきりしてをります中に、おぢいさんといふ人を少しも知りません。おぢいさんとはいつても、まだ四十二で亡くなつたのですから、私の生れるずつと先のことです。 このおぢいさんは、大そうえらい人だつたと、私の子供のじぶん、誰彼(だれかれ)にいひきかされました。 「なぜえらいのか。」 ときゝますと、 「大そう学問ができた

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本児童文学大系 第九巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日