はちのじやま
八の字山

冒頭文

私(わたし)が幼いころ、一ばんさきにおぼえた字は、八といふ字でありました。これは、先生から習つたのではない、山が教へてくれた字であります。 村のうしろに、雑木山が二つ向きあつてゐる間から、擂鉢(すりばち)をふせたやうな形の山が、のぞいてゐて、そのまん中どころに、大きな八の字が書いてあるのです。それは、岩のかたまりが、裾(すそ)ひろがりに二すぢ長くつづいてゐるのでしたが、とほくから見ると、

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本児童文学大系 第九巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日