だいぼさつとうげ 34 はくうんのまき
大菩薩峠 34 白雲の巻

冒頭文

一 秋風ぞ吹く白河の関の一夜、駒井甚三郎に宛てて手紙を書いた田山白雲は、その翌日、更に北へ向っての旅に出で立ちました。 僅かに勿来(なこそ)の関で、遠くも来つるものかなと、感傷を逞(たくま)しうした白雲が、もうこの辺へ来ると、卒業して、漂浪性がすっかり根を張ったものですから、彽徊顧望なんぞという、娑婆(しゃば)ッ気も消えてしまって、むしろ勇ましく、北地へ向けてのひとり旅が成り立ちま

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大菩薩峠15
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年7月24日