ひゃくしょうのあし、ぼうさんのあし
百姓の足、坊さんの足

冒頭文

一 十二月十二日に貧しい百姓の菊次さんは、雲華寺(うんげじ)の和尚(をしやう)さんが米初穂(こめはつほ)をあつめて廻るのにお供していきました。 米初穂といふのは、ことしの秋とれた新しいお米のことで、村の百姓達はそれを少しづつお寺にささげて、仏様にのちの世のことを頼んだのであります。 和尚さんが村の家々の戸口に立つて、短い経を読むと、百姓達はもうちやんと知つてゐて、新し

文字遣い

新字旧仮名

初出

「花のき村と盗人たち」帝国教育会出版部、1943(昭和18)年9月

底本

  • 日本児童文学大系 第二八巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日