のぼっていったしょうねん
登つていつた少年

冒頭文

一年一回の学芸会が近づいて来た。小さい村の二百に充たない小さい魂は二月も前から小鳥が春を待つやうに待つてゐた。この頃になると少年少女達の眼は急に注意深くなつて先生のどんな小さな表情、どんな微かな挙動をも見のがさない。特に成績がよくて学芸会に出ることを約束されてゐる児童達がさうだつた。 遂々或る日先生が口をきつた。それは唱歌の時間が終りかけたときだつた。その時間の始めから生徒達はうすうす感

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本児童文学大系 第二八巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日