だいぼさつとうげ 26 めいろのまき |
| 大菩薩峠 26 めいろの巻 |
冒頭文
一 信濃の国、白骨(しらほね)の温泉——これをハッコツと読ませたのは、いつの頃、誰にはじまったものか知らん。 先年、大菩薩峠の著者が、白骨温泉に遊んだ時、机竜之助のような業縁(ごうえん)もなく、お雪ちゃんのようにかしずいてくれる人もない御当人は、独去独来の道を一本の金剛杖に託して、飄然(ひょうぜん)として一夜を白槽(しらふね)の湯に明かし、その翌日は乗鞍を越えて飛騨(ひだ)へ出ようとして、草鞋
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠10
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年4月24日