たいちのくつはせかいいち |
太一の靴は世界一 |
冒頭文
一 大きな工場のかたすみに、倉庫があります。倉庫の裏口には、鉄の戸がしまつてをり、その上に長いひさしが出てゐます。 そのひさしの下に、十六七さいの少年が、靴直しの店を出しました。店といつても、名ばかりです。靴直しのだうぐと、革のきれはしと、こしかけになる木の箱だけです。 そのへんには、工場や、会社が並んでゐて、靴をはいた人たちがたくさんゐます。でも、この少年に靴直しを
文字遣い
新字旧仮名
初出
「幼年倶楽部」1938(昭和13)年5月
底本
- 日本児童文学大系 第一六巻
- ほるぷ出版
- 1977(昭和52)年11月20日