シロ・クロものがたり
シロ・クロ物語

冒頭文

一 公園の占師(うらなひし) 南洋のある半島の港です。太陽がてりつけて、暑い、けれどさはやかです。木がこんもりとしげり、椰子(やし)や棕櫚(しゆろ)が、からかさのやうに葉をひろげて、いろんな花がさきほこつてゐます。 その港町の、公園の木かげに、みごとな白い髯(ひげ)をはやしたお爺(じい)さんが、ぢめんに毛布をひろげて、占(うらなひ)の店をだしてゐます。まはりには、おほぜいの人があつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「幼年倶楽部」1937(昭和12)年1月~6月

底本

  • 日本児童文学大系 第十六巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日