きそのいっぺい
木曽の一平

冒頭文

むかし、木曾の山里に、一助(いちすけ)といふ年とつたきこりがゐました。 一助のところに、一平(いつぺい)といふ若者がゐました。一助の孫で、両親に早く死なれて、一助のてつだひをしてをりました。 一助と一平とは、いつも仲よく、山へ薪をとりに出かけ、その薪を町へ売りに出かけました。 ところが、ときどき、一助はへんなことをいひだしました。 「わしは、どうしても、手づかみ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「幼年倶楽部」1942(昭和17)年9月

底本

  • 日本児童文学大系 第一六巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日