だいぼさつとうげ 20 うもんさんきゅうのまき |
| 大菩薩峠 20 禹門三級の巻 |
冒頭文
一 宇治山田の米友は、あれから毎日のように夢を見ます。その夢は、いつもはんで捺(お)したように不動明王の夢であります。夢や新聞は、毎日変ったものを見せられるところにねうちがあるのだが、米友のように、毎夜毎夜同じ夢ばかりを見せられては、驚かなければなりません。 夢から醒(さ)めたたびに米友の驚き呆(あき)れた面(かお)も、やはりはんで捺したようなものです。米友はついに堪り兼ねて、
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠6
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年2月22日