だいぼさつとうげ 19 こなじのまき |
| 大菩薩峠 19 小名路の巻 |
冒頭文
一 その晩のこと、宇治山田の米友が夢を見ました。 米友が夢を見るということは、極めて珍らしいことであります。米友は聖人とは言いにくいけれども、未(いま)だ曾(かつ)て夢らしい夢を見たことのない男です。彼は何かに激して憤(おこ)ることは憤るけれども、それを夢にまで持ち越す執念(しゅうねん)のない男でした。また物に感ずることもないとは言わないけれども、それを夢にまで持ち込んであこがれるほどの優し
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠6
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年2月22日