だいぼさつとうげ 17 こくごうびゃくごうのまき |
| 大菩薩峠 17 黒業白業の巻 |
冒頭文
一 八幡村(やわたむら)の小泉の家に隠れていた机竜之助は、ひとりで仰向けに寝ころんで雨の音を聞いていました。雨の音を聞きながらお銀様の帰るのを待っていました。お銀様は昨日、そっと忍んで勝沼の親戚まで行くと言って出て行きました。今宵はいやでも帰らねばならぬはずなのに、まだ帰って来ないのであります。 お銀様は、竜之助を連れて江戸へ逃げることのために苦心していました。勝沼へ行くと言ったのも、おそら
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠5
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年2月22日