だいぼさつとうげ 16 どうあんとぼらはちのまき
大菩薩峠 16 道庵と鯔八の巻

冒頭文

一 下谷の長者町の道庵先生がこの頃、何か気に入らないことがあってプンプン怒っています。 その気に入らないことを、よく尋ねてみるとなるほどと思われることもあります。それは道庵先生のすぐ隣の屋敷地面を買いつぶして、贅沢(ぜいたく)な普請(ふしん)をはじめたものがあるのであります。道庵先生ほどのものが、他人の普請を嫉(ねた)むということはありません。その普請が出来上るまでは、先生は更

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大菩薩峠5
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年2月22日