かわのなかへおっこちたおねこさん
川の中へおつこちたお猫さん

冒頭文

あるところにお猫(ねこ)さんがありました。どういふわけだか、生れつきお家(うち)にゐるのがきらひで、いつでもぶらりぶらりと、あるきまはつてゐました。 ある日、お母さんがおつしやいました。 「お猫さんや、今日は少し寒いから、お家(うち)にじつとしていらつしやい。」 けれども、お猫さんは、お母さんの姿が見えなくなると、すぐさまお家(うち)をとび出して、三町(ママ)ほどむかふの川の

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1933(昭和8)年11月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日