ないているおねこさん
泣いてゐるお猫さん

冒頭文

1 ある所にちよつと、慾(よく)ばりなお猫(ねこ)さんがありました。ある朝、新聞を見ますと、写真屋さんの広告が出てゐました。 「写真屋さんをはじめます。今日写しにいらしつた方の中で、一番よくうつつた方のは新聞にのせて、ごほうびに一円五十銭差し上げます。」 お猫さんは鏡を見ました。そして身体(からだ)中の毛をこすつてピカピカに光らしました。そして、お隣のあひるさんの所へ行きまし

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1933(昭和8)年9月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日