うさぎさん と おおかみさん
うさぎさん と おほかみさん

冒頭文

うさぎさんが散歩してゐました。もうなつになりかけでしたから、きれいな花が咲いてゐました。そしていゝ匂(にほ)ひがしてゐました。 一人で歩くのは、うさぎさんには、初めてです。なぜといつて、うさぎさんは小学校の二年生でしたから。一人だつたので、とてもこわかつたのでした。うさぎさんは大変背がひくいでせう。ですから、鼻の先に見えるものは、草と、葉ばかりでしたから、ずつと前や、うしろから、何が出て

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1930(昭和5)年7月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日