あひるさん と つるさん
あひるさん と つるさん

冒頭文

あひるさんは鳥は鳥でも羽が短いのでとぶことが出来ません。あひるさんの近所に、鶴(つる)さんがゐました。二人はお友達でした。 あひるさんは鶴さんの羽を見る度に一度貸してもらひたくて仕方がありません。でも、貸して下さいなどといふことは、あひるさんは恥しくて言へません。「鶴さん、君の羽は飛べるからいゝねえ。僕(ぼく)、君に、僕の持つてゐる万年筆をあげようか」とあひるさんが言ひました。鶴さんは大

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1930(昭和5)年5月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日