ライオンのおおぞん
ライオンの大損

冒頭文

ある秋の一日、一匹の威張り屋のライオンが森の中で、お昼寝をしてゐる間に、大切な、日頃(ひごろ)自慢のあごひげを、誰(だれ)にとられたのか、それとも抜け落ちてしまつたのか、とにかく起きて、のどがかわいたので、水をのみに、ふら〳〵と川の方へ行く途中で熊(くま)に会ひますと熊は、ライオンをよく知つてゐるのに挨拶(あいさつ)をしないので 「熊君、なぜ、挨拶をしない? 失敬じやないか」といつた時に熊は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1929(昭和4)年10月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日