はとめのわるいおじいさん
歯と眼の悪いおぢいさん

冒頭文

あるところに一人のおぢいさんがありました。おぢいさんはきのふの晩から歯が痛くて仕方がないので、ほつぺたを繃帯(ほうたい)してお医者に行かうとしましたが、おぢいさんは貧乏なものですから、一銭もお金がないのでした。しかしどつかに、一銭位(ぐらゐ)おちてゐるかも知れないと思つて、家中(うちぢゆう)の敷物をめくつて、板のすきまをほじくつて見ましたが、一銭もみつかりません。こんどは、家(うち)のまわりに積ん

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1928(昭和3)年8月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日