かみとこやのだいこんさ
髪床やの大根さん

冒頭文

今年十(とお)になつた、大根さんのお家(うち)はお父さんが髪床やさんでした。二人とも、おやさいの中で一番頭の毛が青く立派に生へてゐるので、誰(た)れでも、大根さんの家(うち)が髪床やさんをしてゐるのを笑ふものはありませんでした。 大根さんは毎日お父さんが方々の家(うち)へ髪を刈りに出張するので、お父さんの後(うしろ)から髪を刈るはさみやバリカンを入れた箱を持つてついて行きました。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1928(昭和3)年3月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日